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2023年8月24日

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はじめに〜個人的な視点

小規模な歯科診療所で働く歯内療法専門医として、私は歯科治療の臨床面と管理面の両方を管理することで生じる課題と機会について、身をもって経験しています。急速な技術進歩や患者の期待が進化するこの時代において、私たちのような小規模歯科診療所は、競争力を維持するために絶えず適応していかなければなりません。この適応における強力なツールの1つがアウトソーシングです。この記事では、アウトソーシングが小規模歯科医院にどのような力を与えることができるのか、私自身の経験から実例を挙げながら掘り下げてみたいと思います。

自動電話応対:患者体験の向上

小規模な歯科医院では、スタッフの数が限られているため、かかってくる電話の対応に追われることがあります。自動電話応対サービスを導入することで、それぞれの電話に迅速かつプロフェッショナルに対応することができます。スタッフを増員することなく、24時間365日のコンタクトポイントを患者さんに提供し、アクセシビリティと満足度を高めます。
例えば私が利用している「Ivry(アイブリー)」では、AIによる自動読み上げテキストを自由に作成できるので、編集やアップデートが容易で重宝しています。
更に、診療中に対応し難い電話(営業の電話等)に対して自動的に対応してもらえる事も、過度に患者さんをお待たせする事もなく、診療効率化に大きく貢献しています。

事務作業のアウトソーシング:コアコンピテンシーに集中する

請求書作成、スケジュール管理、振込手続きなどの事務作業は不可欠ですが、貴重な時間を消費します。また、院内マニュアル作成、リクルート対応、周辺市場調査等、緊急ではないが重要な事、いわゆる第二領域の事柄は、第一領域、緊急かつ重大な事柄に押されて後回しになりがちです。
このような業務をアウトソーシングすることで、小規模な診療所は患者ケアなどのコアコンピテンシーに集中することができます。私たちの診療所では、こういった事務業務をアウトソーシングすることで、効率が上がっただけでなく、他院の事例を含めたノウハウの蓄積によって正確性も向上し、収益サイクルにプラスの影響を及ぼしています。

スペシャリストとのコラボレーション:専門家のネットワーク

小規模な診療所では、複雑な症例のために専門医を雇用するリソースがないかもしれません。自身で研鑽を積み対応していくにも限界があります。この問題は、信頼できる専門医にアウトソーシングすることで解決できます。例えば、私は歯内療法専門医として、集学的な症例のために歯周病専門医や補綴医と連携しています。このアプローチにより患者さんは、他院に紹介することなく包括的な治療を受けることができ、よりクオリティーの高い一貫性のある治療を、より安心して受けることができます。

雇用の課題への取り組み:柔軟なアプローチ

日本のように雇用問題が深刻な国では、アウトソーシングは人材確保に柔軟なアプローチを提供します。採用や定着に苦労するよりも、小規模な診療所でも必要に応じて各分野の専門家を雇うことができるのです。歯科衛生士の確保に苦慮されている先生も多いと思いますが、例えばフリーランスの歯科衛生士に依頼する、HANOWAなどのマッチングアプリを活用する等の取り組みも考えられます。私の場合はもはや、クリーニングやメインテナンス等の歯科衛生士業務に関わる部分は、確保できているクリニックにアウトソーシングしてしまっています。このような柔軟性により、小規模な診療所でも、専任の専門家による経済的負担をかけることなく、幅広いサービスを提供することができ、マネジメント管理に悩むことなく本来の業務に集中出来るようになります。

経済的側面:費用対効果の高い成長

アウトソーシングは、特に厳しい予算で運営されている小規模な診療所にとって、財務的なメリットももたらします。特定の業務を外部機関に委託することで、診療所は、正社員に関連する諸経費をかけずに、専門家によるサービスを利用することができます。この費用対効果の高いアプローチにより、小規模な診療所は、新しいテクノロジーやサービスの拡大など、成長の機会・顧客満足度向上のために投資することができます。

まとめ:小規模診療所における成功のための戦略

アウトソーシングは単なるビジネストレンドではなく、小規模歯科医院が競争の激しい環境で成功するための戦略的ツールです。自動応答サービス、事務作業のアウトソーシング、スペシャリストとのコラボレーションなどの実用的なアプリケーションを通じて、私たちのような診療所は、効率性、患者満足度、財務的な持続可能性を高めることができます。

小規模な診療所の歯内療法専門医として、私はこれらの戦略が日常業務と長期的な成功をどのように変えることができるかを見てきました。アウトソーシングを取り入れることで、私たちは、敏捷性と先見性をもって現代の複雑な歯科医療の荒波を乗り越えることができ、真に重要なこと、つまり患者さんに卓越した治療を提供することに集中することができます。テクノロジーの導入であれ、プロフェッショナルな協力関係のネットワーク構築であれ、アウトソーシングがもたらす機会は、特に大きなインパクトを与えたいと考えている小規模な歯科医院にとっては、広大かつ貴重なものです。

クリニックF&Tでは、院長が海外研修を含め1000万円以上の費用をかけ、10年以上の年月をかけて習得した、歯内療法の知識とノウハウを余すことなくお伝えし、3年で独り立ちできるように指導しています。ご興味のある先生はお問い合わせください。

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医療法人CFT クリニックF&T 院長 高見澤 哲矢 医療法人CFT
クリニックF&T
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院長 高見澤 哲矢

【経歴】
1993年 東北大学歯学部卒
1993年 高見沢歯科勤務
2003年 たかみさわ歯科オーラルヘルスケアセンター開院
2008年 クリニックF&Tとして移転開院

【所属学会】
アメリカ歯内療法学会(AAE)
日本歯内療法学会
東北歯内療法学会
Penn Endo Study Club in Japan
CID Club