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2024年3月28日

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例えばご自身の歯を失うことなく救いたいとき、私たちの選択はどうあるべきでしょうか?
特に、根管治療のような専門的な処置が必要な場合、その答えは簡単ではありません。一般歯科医でも根管治療は可能ですが、歯内療法専門医はこの分野における更なるトレーニングを受け、複雑な症例への対応に特化しています。また、歯学部付属の病院も選択肢に上がりますが、それぞれの選択にはメリットとデメリットが存在します。

今回は、これらの選択肢を比較し、あなたがご自分にとって最適な選択をするための情報を提供いたします。

歯内療法専門医の選択

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歯内療法専門医のもとで治療を受けることは、あなたに多くの利点を提供します。
彼らは、一般的に2年以上の専門トレーニングを受け、最先端の技術とツールを駆使して、難易度の高い治療を行います。また、専門医は治療の効率性が高く、豊富な経験を活かして最新の研究に基づいた治療を提供できます。更に、正しい診査診断と予後の見極めのクオリティが高いことも利点となります。しかしながら、高度な専門知識と技術が高額な費用に繋がること、そして一箇所での包括的な歯科治療が難しい点はデメリットとなり得ます。

歯学部付属病院での治療

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一方で、歯学部付属病院では、治療費が抑えられ、様々な歯科専門医へのアクセスが可能です。また、未来の歯科医師たちの教育に貢献する機会もあります。ただし、最先端技術の利用が限られていることや、治療に時間がかかることは考慮する必要があります。

一般歯科医による治療
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一般歯科医による治療は、最も手軽で、結果が伴えば費用対効果の高い選択肢です。長年の信頼関係に基づく継続的なケアを提供し、複雑ではない症例には十分な治療を受けることができる可能性があります。しかし、専門的な治療が必要な場合は、専門医の方が適切な選択肢となる場合があります。

どの道を選ぶべきか?

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根管治療など歯内療法の選択は、症例の複雑さ、費用、アクセスのしやすさ、そして個々の優先順位によって異なります。

専門医の効率性と専門知識は、特に複雑な症例や再治療が必要な場合に有利です。一方で、歯学部付属病院はコストを抑えつつ、未来の歯科医師の教育に貢献したいと考える方に適しています。そして、一般歯科医は、より身近で総合的なケアを求める方や、症例が比較的単純な場合に最適な選択肢と言えるでしょう。

最終的に、自分のニーズに最も合致した治療を受けるためには、各選択肢の利点と欠点を理解し、自身の状況に照らし合わせて考えることが重要です。また、治療を受ける前には、歯科医師やコデンタルスタッフと十分に話し合い、自分の健康状態や期待・希望についてオープンコミュニケーションを持つことが、何よりも大切です。

あなたがどの選択をするにしても、最良の結果を得るためには、専門家の意見を聞き、また自分自身で情報を集めることが欠かせません。
歯内療法が適切に行われれば、多くの場合、歯を救うことができます。そのためには、信頼できる歯科医師とともに、最適な治療方法を見つけ出すことが何よりも重要です。
歯を失うことなく、健康で美しい笑顔を保つために、正しい選択をしましょう。そして、もし不安や疑問があれば、躊躇せずに専門家に相談してください。歯内療法の選択は一人ひとりによって異なりますが、正しい情報と適切なサポートがあれば、あなたにとって最良の道を選ぶことができるはずです。


クリニックF&Tでは、海外研修を含め1000万円以上の費用と10年以上の年月を投じて習得した歯内療法の専門歯科医師が、正しく診査診断いたします。
セカンドオピニオンも承ります。ご興味のある方はお問い合わせください。

2023年8月24日

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はじめに〜個人的な視点

小規模な歯科診療所で働く歯内療法専門医として、私は歯科治療の臨床面と管理面の両方を管理することで生じる課題と機会について、身をもって経験しています。急速な技術進歩や患者の期待が進化するこの時代において、私たちのような小規模歯科診療所は、競争力を維持するために絶えず適応していかなければなりません。この適応における強力なツールの1つがアウトソーシングです。この記事では、アウトソーシングが小規模歯科医院にどのような力を与えることができるのか、私自身の経験から実例を挙げながら掘り下げてみたいと思います。

自動電話応対:患者体験の向上

小規模な歯科医院では、スタッフの数が限られているため、かかってくる電話の対応に追われることがあります。自動電話応対サービスを導入することで、それぞれの電話に迅速かつプロフェッショナルに対応することができます。スタッフを増員することなく、24時間365日のコンタクトポイントを患者さんに提供し、アクセシビリティと満足度を高めます。
例えば私が利用している「Ivry(アイブリー)」では、AIによる自動読み上げテキストを自由に作成できるので、編集やアップデートが容易で重宝しています。
更に、診療中に対応し難い電話(営業の電話等)に対して自動的に対応してもらえる事も、過度に患者さんをお待たせする事もなく、診療効率化に大きく貢献しています。

事務作業のアウトソーシング:コアコンピテンシーに集中する

請求書作成、スケジュール管理、振込手続きなどの事務作業は不可欠ですが、貴重な時間を消費します。また、院内マニュアル作成、リクルート対応、周辺市場調査等、緊急ではないが重要な事、いわゆる第二領域の事柄は、第一領域、緊急かつ重大な事柄に押されて後回しになりがちです。
このような業務をアウトソーシングすることで、小規模な診療所は患者ケアなどのコアコンピテンシーに集中することができます。私たちの診療所では、こういった事務業務をアウトソーシングすることで、効率が上がっただけでなく、他院の事例を含めたノウハウの蓄積によって正確性も向上し、収益サイクルにプラスの影響を及ぼしています。

スペシャリストとのコラボレーション:専門家のネットワーク

小規模な診療所では、複雑な症例のために専門医を雇用するリソースがないかもしれません。自身で研鑽を積み対応していくにも限界があります。この問題は、信頼できる専門医にアウトソーシングすることで解決できます。例えば、私は歯内療法専門医として、集学的な症例のために歯周病専門医や補綴医と連携しています。このアプローチにより患者さんは、他院に紹介することなく包括的な治療を受けることができ、よりクオリティーの高い一貫性のある治療を、より安心して受けることができます。

雇用の課題への取り組み:柔軟なアプローチ

日本のように雇用問題が深刻な国では、アウトソーシングは人材確保に柔軟なアプローチを提供します。採用や定着に苦労するよりも、小規模な診療所でも必要に応じて各分野の専門家を雇うことができるのです。歯科衛生士の確保に苦慮されている先生も多いと思いますが、例えばフリーランスの歯科衛生士に依頼する、HANOWAなどのマッチングアプリを活用する等の取り組みも考えられます。私の場合はもはや、クリーニングやメインテナンス等の歯科衛生士業務に関わる部分は、確保できているクリニックにアウトソーシングしてしまっています。このような柔軟性により、小規模な診療所でも、専任の専門家による経済的負担をかけることなく、幅広いサービスを提供することができ、マネジメント管理に悩むことなく本来の業務に集中出来るようになります。

経済的側面:費用対効果の高い成長

アウトソーシングは、特に厳しい予算で運営されている小規模な診療所にとって、財務的なメリットももたらします。特定の業務を外部機関に委託することで、診療所は、正社員に関連する諸経費をかけずに、専門家によるサービスを利用することができます。この費用対効果の高いアプローチにより、小規模な診療所は、新しいテクノロジーやサービスの拡大など、成長の機会・顧客満足度向上のために投資することができます。

まとめ:小規模診療所における成功のための戦略

アウトソーシングは単なるビジネストレンドではなく、小規模歯科医院が競争の激しい環境で成功するための戦略的ツールです。自動応答サービス、事務作業のアウトソーシング、スペシャリストとのコラボレーションなどの実用的なアプリケーションを通じて、私たちのような診療所は、効率性、患者満足度、財務的な持続可能性を高めることができます。

小規模な診療所の歯内療法専門医として、私はこれらの戦略が日常業務と長期的な成功をどのように変えることができるかを見てきました。アウトソーシングを取り入れることで、私たちは、敏捷性と先見性をもって現代の複雑な歯科医療の荒波を乗り越えることができ、真に重要なこと、つまり患者さんに卓越した治療を提供することに集中することができます。テクノロジーの導入であれ、プロフェッショナルな協力関係のネットワーク構築であれ、アウトソーシングがもたらす機会は、特に大きなインパクトを与えたいと考えている小規模な歯科医院にとっては、広大かつ貴重なものです。

クリニックF&Tでは、院長が海外研修を含め1000万円以上の費用をかけ、10年以上の年月をかけて習得した、歯内療法の知識とノウハウを余すことなくお伝えし、3年で独り立ちできるように指導しています。ご興味のある先生はお問い合わせください。

2023年8月17日

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根管治療のために歯科クリニックへ行くと、時によって初めから歯根端切除法、嚢胞摘出術などの外科的歯内療法を勧められることがあります。確かに専門医がプロトコル通り行えば、良い治療ですが、手術と聞くと、それだけで抵抗がある方も多いと思います。そこで今回は、外科的治療だけで歯内療法を行うことについて、掘り下げたいと思います。

確かに外科的歯内療法はメリットも多い治療方法です。

メリット
1. 感染源の除去:外科的手術では感染源を直接取り除くことができるため、特に複雑な感染がある場合に効果的であることがあります。
2. 素早い解決:感染や他の問題が深刻である場合、外科手術は素早く問題を解決することができる場合があります。
3. 再治療への適応:以前の非外科的治療が失敗した場合の再治療に対して選択肢となりえます。
4. 精密な診断:外科手術を行う際には、直接患歯を観察できるので、より詳細な診断が可能になります。
5. アクセスの容易さ:被せ物が外せない、外そうとすると歯を壊してしまいそう、もしくは外したくない、といった非外科的手法ではアクセスが困難なケースにおいて、外科的手法では治療が可能となる場合があります。
6. 高い成功率:トレーニングを受けた専門医が、モダンテクニック(マイクロスコープを使い、専用の超音波機器にて逆根管形成を行った上で、バイオセラミック系の材料にて逆根管充填する)を用いて施術すれば、約90%の成功率となることが複数の文献で示されています。

これらからすれば、この治療を最初から勧めるのもわからなくはありません。
また歯科クリニック側の経営という側面から考えると、外科のみで解決した方が有利に働きます。

しかしながら、外科的歯内療法のデメリットも多々あります。

デメリット
1. 侵襲性:体への侵襲が大きく、術後の痛みや腫れが非外科的歯内療法よりも強い可能性があります。
2. コスト:外科的歯内療法は非外科的歯内療法よりも費用が高くなることが多いです。(※外科的歯内療法は加入されている生命保険の会社や条件により治療費が保険金給付対象になる可能性はあります)
3. リスク:手術には感染リスク、神経損傷、隣接する歯へのダメージなどのリスクが伴います。
4. 治療の不完全性:外科的歯内療法のみを行った場合、根管内全てにアプローチできません。また、被せ物と自分の歯との境目が、歯茎のラインが変わることで見えてくることがあるなど、長期的な予後が不確定である場合があるため、最初の選択肢としては慎重に検討する必要があります。

以上を鑑みて私は、多くの場合の第一選択はあくまでも非外科的歯内療法であって、まずそれを行っても予後が悪い場合に外科的な歯内療法を行うべきと考えます。

では外科的歯内療法を第一選択にした方が良い場合とはどんなケースでしょうか。
1. 患者さん側の事情:通院する時間が限られている、被せ物を壊したくない等の患者さんの事情がある場合
2. 複雑な根管解剖学的形態:歯の根管が非常に複雑、もしくは石灰化により根管が極端に狭くなっていて、非外科的治療でのアクセスが困難な場合。
3. 外傷等による歯の損傷:歯が外傷等により亀裂や破折している場合、歯そのものの保存の可否を診断する必要性によりに外科的アプローチを行うことがあります。
4. 根尖に異物が詰まっている場合:根尖に異物が詰まり、非外科的な手法で取り除くことが困難な場合。
5. 歯の再発性感染:以前の外科的歯内療法後に再び感染した場合、非外科的手法での治療が困難であることが多くあります。
6. 非外科的手法のアクセス制限:既存の冠や被せ物などで非外科的アプローチが困難な場合。

これらの場合外科的歯内療法が最良の選択肢となることがありますが、最終的な治療方針は歯科医師との相談に基づいて決定されるべきです。

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私が3代目歯科医師として家業を引き継いだ経験のお話をしていきます。家業の歯科医院を継ぐ準備をしている2代目、3代目の歯科医師として、あなたはある意味、非常に重要な岐路に立っています。あなたには、家族の遺産を守り成長させるだけでなく、その中で独自の道を切り開くまたとないチャンスがあります。私が選択した重要な戦略の1つは、他の診療所や病院との協力関係を育みながら、歯内療法学などの専門性を追求することです。

ファミリープラクティスの充実

自分の医院を歯内療法に専門化したことで、かえって診療所の提供するサービスを充実させることができました。現在、あなたの診療所では一般歯科診療を幅広く提供しているかもしれませんが、歯内療法学のような専門分野を加えることで、より複雑な症例にも対応できるようになります。この特化したサービスは、診療所と患者さんにとって新たな価値をもたらしてくれます。

専門的な知識から得る利益

歯内療法学に付随する専門知識には、幅広い利点があります。歯科技術やテクノロジーが進化するにつれ、スペシャリストとしてこれらの進歩の最前線に立つことができます。私としては、妥協のない最善の、より根拠に基づいた効果的な治療を提供することで、包括的で高度な治療に対する診療所の評価を高めることができていると実感しています。

コラボレーションの力

それにつけても包括的な治療を提供することは、歯科医療界から孤立することを意味する訳ではありません。他の診療所や病院と協力することは、総合的な歯科治療を提供する上で重要なことです。強力な専門家ネットワークは、治療戦略の指針となるリソースや洞察を提供し、治療成績を向上させることができます。

例えば、複雑な歯内療法の症例に対応することはできても、患者さんのニーズがあなたの専門を超えている場合があります。そのような場合、他の専門診療所や病院と協力関係を持つことで、患者さんは最善の治療を受けることができます。

ビジネスへの影響

歯内療法学のような専門分野に特化した診療を取り入れることで、自院の財務健全性を高めることができました。専門的なサービスを提供することで、より幅広い患者層を惹きつけ、治療件数を増やすことができます。さらに、他の歯科診療所や病院と協力することで、相互紹介ネットワークを構築し、あなたの診療所への患者アクセスを促進することができます。

歯内療法学、卓越した専門分野

様々な歯科専門分野がある中で、なぜ私は歯内療法学に特に注目したのでしょうか?歯内療法学は歯を救うことです。アメリカ歯内療法学会の患者さん向けキャッチフレーズも「SAVE YOUR TEETH」。患者さんが天然の歯を維持し、耐え難い痛みから解放されるのを助けることには、深い満足感があります。このような処置は複雑で厳しいものですが、患者の即時の救済と長期的な口腔の健康という点で、最も影響力のある処置でもあると感じています。

他の分野もそうであるように、テクノロジーの進歩は、歯内療法の分野を著しく向上させました。高度な画像技術や最先端の根管治療は、患者さんの経験や治療結果を向上させています。一方、だからといって守るべき事柄、診査診断をどう行うのか、治療方針の意思決定はどう進めるべきなのか、無菌的処置はどうあるべきなのか、といったことを軽んじて良い訳でもありません。むしろこちらの方が変わらず最重要事項であると、今でも私は日々実感しています。つまりこういった視点・知識を取り入れ、実践していく力を身につけることで、より患者さんファーストの歯科医療を提供するクリニックとしての評判を高めることができます。

未来への投資

次世代の歯科医師として、歯内療法学のような専門分野に取り組むことは、未来への投資を意味します。そしてあなたのスキルと診療所の能力を拡大することになります。しかし、それは継続的な学習へのコミットメントでもあります。歯科医療、特に専門分野は日進月歩です。すべての分野に精通することは困難で、私の場合はそうしようとしても、どれも中途半端になってしまいました。専門分野での知識とスキルの絶え間ない追求の旅は、非常にやりがいのあるキャリアにつながります。

独自の道を切り開く

家族経営の歯科医院を継承することは、重大な責任であると同時に、エキサイティングな機会でもあります。歯内療法学では精密さ、技術力、そして患者の不快感を和らげることへの情熱が求められます。私は、専門性を追求し他の歯科専門家との協力関係を促進することで、診療所のサービスに深みを持たせ、将来の成長を確実なものにすることができています。専門化と協力に取り組むことで、あなたは今までの遺産に活気ある新しい章を書き加えることができるでしょう。

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2023年8月10日

専門分野の選択
歯科医療という広大な分野で自分の道を切り開くには、自分の情熱、スキルセット、プロとしての願望に沿った専門分野を選択することが重要な一歩となります。歯の仕組みに興味を持ち、精密さに惹かれ、患者の痛みを和らげることに意欲を感じ、患者さんの自然な歯を守る最後の砦となりたいと考えるなら、歯内療法学というニッチな分野を検討する価値があります。

"歯内療法専門医の役割"を理解する
歯内療法学は、歯髄腔、歯髄(神経)、根管など、歯の最奥部を構成する歯髄の研究と治療に焦点を当てた専門分野です。この分野は、歯の痛みを診断し、それを治療するために複雑な処置を行うことを中心に展開され、最も顕著なものは根管治療である。

歯内療法のやりがい
歯内療法学は非常にやり甲斐のある分野です。歯の複雑な解剖学の詳細な知識と技術的なスキルが融合しています。歯内療法学の核心は、自然な歯列を保存することです。歯髄を治療し、歯を再生させることで、歯内療法専門医は口腔の健康と患者の幸福を促進する重要な役割を果たします。

成功する歯内療法専門医のスキルと特徴について
歯内療法専門医の仕事の特徴の一つは、その複雑さと精密さが要求されることです。根管治療、再治療、歯内療法外科などの処置は、細部への細心の注意と安定した手技を必要とすることがよくあります。精密な処置に挑戦するのが好きで、マイクロスコープ下での作業に適性がある方には、歯内療法学が向いているかもしれません。

"患者を安心させる"という満足感
さらに、歯内療法学では、歯の痛みに苦しむ患者さんをすぐに救うことができます。患者さんの不安や不快感を和らげ、生活の質を高めることにやりがいを見出すなら、この分野は非常に満足のいくものとなるでしょう。

歯内療法学のトレーニングと教育
歯内療法専門医になるためのトレーニングには、通常、米国においては歯学部を卒業してからさらに2~3年の研修医期間が必要です。この間、研修医は歯内療法学の理論的理解を深め、幅広い実践経験を積みます。この厳しいトレーニングにより、幅広い複雑な歯内療法の診断と治療に必要な専門知識を身につけることができます。
しかしながら現在、日本の歯科大学、医療機関でこの教育研修を受けられるところは、非常に限られています。

学び続けることの重要性
歯内療法学でのキャリアは、歯科の他の分野と同様、生涯学習へのコミットメントが必要であることを忘れてはなりません。この分野は絶えず進化しており、技術、材料、およびテクニックの進歩は、定期的に、またある時にはダイナミックに診療の風景を変えています。そのため、学習への情熱を維持し、これらの変化に対応することは、歯内療法学でのキャリアを成功させるために必要不可欠です。

まとめ
歯の複雑な解剖学的構造や、繊細で実践的な処置に魅力を感じ、痛みを和らげ患者さんの歯を守ることに満足感を覚えるのであれば、歯内療法学の分野は非常に適していると言えます。他の専門分野と同様に、歯内療法専門医のシャドーイングや関連するインターンシップなど、この分野に触れる機会を探すことは有益です。このような実地体験は、この分野の十分な理解と相まって、歯科医としての将来を形成する際の決断の指針となります。
クリニックF&Tでは、院長が海外研修を含め1000万円以上の費用をかけ、10年以上の年月をかけて習得した、歯内療法の知識とノウハウを余すことなくお伝えし、3年で独り立ちできるように指導しています。ご興味のある先生はお問い合わせください。

2023年5月10日

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根管治療は歯内療法とも呼ばれ、天然歯を保存するために歯科医が行う一般的な処置です。しかし、残念ながら、多くの患者さんがこの処置について誤解や思い違いをしており、恐怖心や消極的な姿勢につながっています。この記事では、根管治療に関する正確な情報を提供することで、こうした誤解を解く手助けをしていければと思います。

根管治療とは?
まず、根管治療とは何かを明確にしましょう。それぞれの歯には、歯髄腔と歯の中心を通り根の中に入っていく根管があります。この根管には、血管、神経、結合組織などがあり、歯が成長する際に栄養を与えています。深い虫歯や外傷、ひび割れ、広範囲の歯の治療などが原因で、歯の中の歯髄が炎症を起こしたり感染したりすると、歯は熱いものや冷たいものに対して敏感になり、痛み出します。そのまま放置しておくと、感染が原因で膿んで骨がなくなり、結果的に歯を失ってしまうこともあります。

根管治療では、損傷または感染した歯髄を歯から取り除き、根管を清掃して形を整え、生体適合性のある材料で充填します。最後に、更なるダメージから歯を守るために、詰め物やクラウンで密閉します。これらの処置は、症例の複雑さに応じて、1回または複数回の来院で行うことができます。

では、根管治療について、よくある誤解を解決するために必要なことは何でしょうか。

誤解その1:根管治療は痛い。
このような誤解は、長年にわたって広まってきましたが、それは単なる事実ではありません。最新の技術と局所麻酔を使えば、根管治療は通常、歯に詰め物をするよりも痛くありません。実際、ほとんどの患者さんは、この治療が通常の歯の詰め物よりも不快でないと報告しています。根管治療の主な目的は、感染または炎症を起こした歯髄によって引き起こされる痛みや不快感を和らげることであり、痛みを引き起こすことではありません。

誤解その2:根管治療が病気や疾患を引き起こす。

数年前、ウェストン・プライスという歯科医が、根管治療をした歯から出る細菌が心臓病、関節炎、ガンなどの全身疾患を引き起こす可能性があると示唆しました。しかし、彼の説は誤った研究に基づいており、科学的な根拠があるわけではありません。実際には、根管治療は歯を保存し、体の他の部分への感染拡大を防ぐための安全で効果的な方法なのです。

誤解その3:根管治療より抜歯の方が良い。

患者さんの中には、根管治療で歯を保存するよりも、感染した歯を抜いた方が良いと考える人もいるかもしれません。しかし、そのようなことはほとんどありません。天然歯を保存することは、ブリッジやインプラントのような、より大規模で高価な歯科治療の必要性を防ぐため、常に抜歯よりも好まれます。また、抜歯は隣接する歯の問題、骨の損失、咬み合わせの変化などを引き起こす可能性があります。さらに、現代の根管治療は成功率が高く、その結果、歯が一生使えるようになることもあります。

誤解その4:死んだ歯は治療の必要がない。

歯が痛くなくなれば、治療は必要ないと考える患者さんがいます。しかし、歯髄が死んでいたり、感染していたりする歯は、まだ脅威となり得ます。治療を行わないと、感染が広がり、膿瘍や骨欠損、重症の場合は全身感染に至ることもあります。さらに、生命力のない歯の大概は、ご自身の健康な歯の一部をそれなりの範囲失っていることが多いため、破折しやすい傾向にあります。

誤解5:根管治療は複数回の予約が必要で、時間がかかる。

症例によっては複数回の予約が必要な場合もありますが、ほとんどの根管治療は1~2時間の1回の来院で完了します。初診時、歯科医師は歯を評価し、X線写真を撮って損傷や感染の程度を判断します。その後、局所麻酔で患部を麻痺させ、歯冠から小さな穴を開けて歯髄腔と根管にアクセスします。専用の器具と灌流剤を使用して、根管の清掃と形を整え、ガッタパーチャ材とシーラー材を充填します。場合によっては、永久的な修復物を入れるまで、歯を保護するために仮の詰め物をすることもあります。その後経過良好であれば、歯科医師が仮の詰め物を取り除き、詰め物や冠を装着し、噛み合わせを調整します。

誤解その6:根管治療は大人だけのもの。

また、お子様が虫歯や外傷で歯髄が損傷した場合、根管治療が必要になることがあります。乳歯は永久歯の発育に重要な役割を果たすため、早々に抜歯するよりも保存した方が良い場合が多いのです。さらに、歯列が十分に発達していない場合は、小児歯内療法の専門医が必要なケースもあります。

まとめ
結論として、根管治療は天然歯を保存し、痛みを和らげ、さらなる損傷や感染を防ぐための安全で効果的な方法です。この治療法に関する一般的な誤解を払拭し、正確な情報を提供することで、歯科医師は患者さんが歯の健康について十分な情報を得た上で決断し、生活の質全般を向上させることができます。患者さんに最善の治療を提供するためには、歯内療法における最新の進歩を常に把握することが重要です。

2023年5月 3日

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歯根端切除術が必要な条件は、現在の歯の状態がこの写真のように、通常の根管治療をしても根尖病変が治癒しない可能性がある場合です。レントゲン写真で歯根の尖端に黒い影が見える場合は、まだ治療過程中だったりするかもしれません。

手術中には歯茎を開いて病変を視認することができますが、場合によっては治療が難しいと判断され、歯を抜かなければならないケースもあります。

施術の流れは、歯茎を開いて病変を取り除き、顕微鏡で拡大しながら歯の内部をきれいにしてから高い成功率が見込めるMTA(もしくはそれに準ずる科学的根拠のある材料)を使用して埋めます。その後、再び歯茎を縫合することになります。

施術後の流れは、3、4日で抜糸を行い、3ヶ月後にデンタルX線で再確認します。成功失敗の判断は、X線写真上の透過像が小さくなってきた(縮小)か、消え去っている(消失)ことと、臨床症状がないことです。

しかし、施術を受けるかどうかは患者さん自身が決めることです。歯を残したい気持ちが強ければ、手術をする方向で考えるかもしれませんが、それでも患者さんの状態やお考えが最優先されます。痛みや違和感がなくても、病気が残っているケースがありますので、定期的なフォローアップ検診を受けることはとても大切です。

施術は1日で終わりますが、3時間ほどの所要時間となります。右下の奥歯はテクニック的にも非常に難しい部分であり、専門的なスキルが必要です。施術を受けている間は辛いかもしれませんが、その後歯を残すことができればとても満足感があるでしょう。

しかし、施術前には慎重に検討する必要があります。施術後は抜糸後のデンタルX線で確認することが必要ですが、残念な結果も出る可能性があることを忘れてはいけません。

最終的な判断は患者さん自身が行うべきです。自分が望む治療法を選び、自分の体力を考慮して施術を受けるかどうかを決めることが必要です。

2023年4月26日

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一般歯科医として、根管治療のために患者さんを歯内療法専門医に紹介することは、よくあることです。しかし、すべての歯内療法専門医が同じという訳ではなく、適切な専門医を選ぶことで、処置の成功と患者さんの満足度に大きな違いが生まれます。今回は、紹介する患者さんのために、経験豊富な歯内療法専門医を選ぶことの重要性について説明します。

歯内療法は、歯髄、神経、血管を含む歯の内部の問題を扱う歯科の専門分野です。根管治療は、最も一般的な歯内療法のひとつで、感染や炎症を起こした歯髄を除去し、天然歯を維持することを目的としています。一般歯科医も根管治療を行うことができますが、歯内療法専門医は専門的なトレーニングを受け、再治療や歯根端切除術などの複雑なケースを得意としています。

紹介する患者さんに経験豊富な歯内療法専門医を選ぶことは、いくつかの点で患者さんにメリットがあります。

1.成功率の向上と成果の向上
経験豊富な歯内療法専門医を選ぶことの最も大きなメリットは、処置の成功率が高まることです。歯内療法専門医は、専門的なトレーニングを受け、様々な歯内療法の症例に対応する豊富な経験を持っています。彼らは、石灰化した管や複数の管がある歯など、複雑な状況を診断し治療することに長けています。このような高度な専門知識により、患者さんは合併症や失敗のリスクを減らし、成功した結果を得られる可能性が高くなります。

2.患者さんの快適性と満足度の向上
経験豊富な歯内療法専門医は、紹介患者さんが処置中にスムーズで快適な体験ができるようサポートします。彼らは、不快感や痛みを最小限に抑えるために、最新の技術やテクノロジーを使用するように訓練されており、可能な限り穏やかなプロセスを実現します。さらに、歯内療法専門医は、患者さんの不安や恐怖を管理する方法をよりよく理解しており、必要に応じて鎮静剤やその他の方法を使用します。経験豊富な歯内療法専門医は、時間をかけて治療方法を説明し、あらゆる質問に答えることで、患者さんを安心させ、より良い満足度と好評を得ることにつながります。

3.最新の技術・技能へのアクセス
歯内療法は近年大きく進歩しており、治療成績や患者の快適性を向上させるために新しい技術やテクニックが開発されています。経験豊富な歯内療法専門医は、デジタル画像、超音波器具、コーンビームCT(CBCT)スキャンなどの最新機器や方法を適材適所に活用することができます。これらのツールは、歯内療法医が症例をより正確に診断・治療するのに役立ち、探索的処置の必要性を減らし、全体的な成功率を向上させることができます。

4.紹介歯科医とのコミュニケーション・連携の強化
経験豊富な歯内療法専門医は、メンテナンスの重要性を理解しており、紹介元歯科医とオープンで明確なコミュニケーションを取ります。歯内療法の成功は、歯の健康全般に対する幅広いアプローチの一部であることを認識し、患者さんにとって最良の結果が得られるように紹介元の歯科医師と協力し合います。これには、経過報告の提供、治療オプションの検討、紹介元の歯科医師による意思決定への関与が含まれます。協力的なアプローチは、信頼関係を促進し、プロフェッショナルな関係を強化し、患者さんにとってより良い長期的な結果につながります。

5.包括的でオーダーメイドの治療計画
経験豊富な歯内療法専門医は、複雑な病歴や歯の問題を抱える患者さんを含め、それぞれの患者さん独自のニーズに合わせた包括的な治療計画を立てることに長けています。このアプローチでは、損傷や感染の程度など、患者さん固有の状況を評価し、それらの問題に対処するためにカスタマイズされた治療計画を策定します。治療方法をカスタマイズすることで、患者さんはより正確で的を射た治療を受けることができ、より良い治療結果と満足度の向上につながるのです。

まとめ
結論として、紹介する患者さんに経験豊富な歯内療法専門医を選ぶことは、患者さんの全体的な歯の健康と満足に不可欠です。経験豊富な歯内療法専門医は、専門知識、高度な技術へのアクセス、高い成功率、そして患者さんの快適さ向上に必要な協力的なアプローチを兼ね備えています。また、各患者さんの個々のご要望に対応するカスタマイズされた治療の方向性を見出すことに長けています。一般歯科医として、患者さんが可能な限り質の高い治療を受けられるようにすることは、非常に重要な役割を担っています。信頼できる経験豊富な歯内療法専門医を選ぶことで、歯の健康と患者さんの生活の質を向上させることができるのです。

2021年3月 4日

こんにちは! クリニックF&T、院長の高見澤です。

私自身もそうですが、歯科の治療を受けようと思ったら、腕の良い歯科医師に診てもらいたいと思いますよね?

さて、その「腕の良さ」では何が重要なのでしょうか?

「手先が器用!」

確かにそれは、不器用よりは器用の方がいいでしょう。

「治療が痛くない!」

私も痛いのは、大の苦手ですので、診療台の上に横になれば、「痛くないようにどうかお願いします」と思わず念じます。

でもそれより何より大切なのは、

「正しい診査診断ができるか?患者さんの意思決定をフェアにサポートできるか?」

ということです。

どういうことか?

診査診断が正しくなければ、

治療をしたけれども痛みが変わらない。。。

頑張って通ったけれども腫れが取れない。。。

明確な理由なく、抜歯と言われる。。。

そんなことが起きてしまう可能性があります。

「ライセンスを持っているのだから、そのくらいはできるでしょう」

と思いますか?そうですよね。

でも、そこまでの正しい診断を導くまでの時間が確保できなかったり、

検査をしきれないことも、あるのかもしれません。

経験が足りなかったり、そのための研鑽(歯科大学教育だけでそこまではサポートできていないのが現実です)を積んでいない場合もあるでしょう。

一方、「患者さんの意思決定」とは何でしょうか?

病気の診断というものは、きちんとした診査を行えば、自ずと一つに決まります。

しかしだからといって、その診断に基づいて必ずすぐに治療を行わなければならないわけではありません。

そこには、患者様それぞれのお考えや価値観、お仕事や家庭の事情、確保できるお時間等、様々なことを鑑みる必要があります。

そして、そこに偏りのない正しい医療情報の提供(例えば歯医者さん自身が得意か不得意かに関係なく)があって、患者さんご自身で、「ではどうするのか?」を考えていく。

それが「患者さんの意思決定」となります。

歯科医療従事者側が決めるわけではないのですが、そのことを理解してサポートできる歯科医師が、真の「腕の良い歯科医師」であると、私は思います。

2017年3月28日

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医療法人CFT クリニックF&T 院長 高見澤 哲矢 医療法人CFT
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院長 高見澤 哲矢

【経歴】
1993年 東北大学歯学部卒
1993年 高見沢歯科勤務
2003年 たかみさわ歯科オーラルヘルスケアセンター開院
2008年 クリニックF&Tとして移転開院

【所属学会】
アメリカ歯内療法学会(AAE)
日本歯内療法学会
東北歯内療法学会
Penn Endo Study Club in Japan
CID Club