歯が悪くなると、すぐに「抜く」のは日本だけの常識。歯内療法は自然の歯を残すことを第一に考えます。
「歯内療法」という言葉を聞いたことがありますか?あまり耳になじみのない言葉かもしれませんが、文字どおり「歯の内部の治療」のことです。いわゆるむし歯の治療も歯内療法のひとつです。歯科治療の世界では、歯の中心にある歯髄部分にまつわる治療を歯内療法と呼んでいます。
歯の表面は非常に硬いエナメル質で覆われています。その内側には柔らかい象牙質があり、さらにその内側にあるのが血管や神経が通っている歯髄です。歯髄は歯の根の部分であごの神経や血管とつながっています。そのため歯髄が細菌に冒されると、硬い組織に覆われて腫れることができずに内部の圧力が高まるため、時に堪え難く痛んだりするのです。
歯髄に近づいた細菌を取り除く
歯髄は硬いエナメル質などで覆われた歯の中心部にありますから、普通ならば細菌に感染することはありません。ところがむし歯によってエナメル質が溶かされてしまうと、神経の通う象牙質や歯髄まで細菌が簡単に入り込んでくるのです。
ごく初期のうちにむし歯を発見・治療できればいいのですが、エナメル質には神経が通っていないため、初期のむし歯は腫れや痛みがありません。気づいたときには細菌が象牙質や歯髄部分にまで入り込んでいることが多いのです。こうなってしまったら、それらの細菌を駆除しなければなりません。そのための治療が、歯内療法です。