日本では歯髄部分が細菌に冒されると、一般的に神経を抜く治療が行われています。でも神経を抜くと周囲の血管も一緒に抜けて、血が通わない状態となります。するとその歯は、細菌からの防衛機能を失って無防備な状態になってしまうのです。
歯髄を取り除く治療は決して簡単なものではありません。諸外国では歯髄を取り除くだけで、日本円にして10万円以上の治療費が請求されることもあります。ところが日本は保険医療制度のため、安価で歯髄を取り除くことができてしまうのです。
歯髄を取り除く治療が高価なものだったら、誰しも「そこまで悪化する前に治したい」と思うでしょう。日本の保健医療制度は大変優れていて、国民の健康に大きく貢献していることは事実ですが、そのために危機感が薄れてしまっては本末転倒です。大切なのは歯を健康な状態に保っておくため、裏づけのある医療を受けることに気を配ることです。
どんなに気をつけていても、歯が悪くなってしまうことがあります。そんなときのできるだけ自然の歯を残すための治療が歯内療法です。歯内療法は自然の歯と長くつきあい続けるための治療なのです。